2011年8月14日日曜日

たまにはメディアリテラシー 「原発輸出に影」?

(この記事は2011/03/14に書かれました)

東北地震後、週明け。こんな非常事態時にこそ、冷静なメディアリテラシーが重要になる。

これを書いている今現在、福島原子炉3号機にて海水注入作業が行われているが水位が上がらず、予断を許さない状況である。それ以前のプロセスを見ても対応は後手後手、報道発表は不透明と、人命の安全が後回しにされているとしか思えない、最悪の状況である。3月13日付け読売新聞の報道一部では、対応が後手に回ったことに関連し、以下の見解が書かれている。
(一部抜粋)


(略)
政府が、新興国など海外市場へのインフラ(社会基盤)輸出を成長戦略の柱に据え、世界有数の技術力を誇る原発建設を重視していることが影響し、「廃炉覚悟の対応にためらいがあったのではないか」との見方も一部にある。

これが事実だとしたらとんでもない話ではあるが、そうだとしても驚くことではない。
同じ日付の同じ新聞で、「インフラ輸出 原発受注に影」というタイトルの記事がある。




メーカーと電力会社は高い技術と安全性をアピールしながら、官民一体となってアジアや中東など新興国での原発受注を目指してきただけに、大量の放射能漏れなど深刻な被害が出れば、日本の原発技術に対する信頼を失いかねない。

今回の地震はトルコ向け原発受注に影を落としそうだ。

などと書かれており、最後に「今後の受注に対する影響が懸念される」と結んでいる。この期におよんでマスコミは「原発は安全なものである」という前提にたって記事を書いていおり、その全体像は原発受注に影響が出そうなことを懸念している内容である。矛盾もはなはだしいが(官にぶらさがっている)大マスコミはこのようにしか書けないだろう。何故なら日本において原発事業はまさに「官民一体となって」推進が進められてきたことであり、その理由は、それが莫大な経済効果をもたらす存在だからである。

空恐ろしいことだが、これまで日本人の8割方は、原子力発電所の実体も放射能汚染の恐ろしさも知らずにいたと思われるし、今だってそうだろう。東京電力も国も、そんなことを国民に知って欲しくないのである。だからこれまで、原子力発電のマイナス面を覆い隠すような報道/広告を繰り返してきた。今現在も、東京電力や政府は事態を矮小化した発表を繰り返しているだけだと、自分は思っている。(「矮小化」の意味が分からない人は別途調べてくれ・・・)

国内の報道だけに頼っていると、耳当たりのいい情報や矮小化された情報しか入ってこない。海外の報道記事も追う必要がある。それが真実かどうかというのは別としても、外側からの視点に接することは、状況の分析に役立つ。

この記事をどれだけ理解/共感する人がいるかわからない。いないかもしれない。
それでも、これを書くのは自分の義務だと思っている。

追記 (2011/04/14)
一ヶ月後の現在。本日付けの読売新聞で、東京電力は国内の復旧に予算と注力を注ぐため、
海外への原発展開を当面凍結するという発表を行った。、、、今頃決めた???かつ「日本の原発技術に対する信頼を失いかねない」なんて間抜けなことが書かれていたが、現在の状況はみなさんご存知の通り・・・