2011年8月14日日曜日

冷静と放射能汚染の間

(この記事は2011/3/25に書かれました)

そして今日も、放射能汚染の話題。放射能物質そのものも問題だが、そのニュースばかり
1日中浴びつつけること自体もよほど有害な気がしている今日この頃。しかし書かずにいられない、、、

2011年3月24日読売新聞に掲載されていた川柳が傑作だったので、そのまま引用。
「冷静に」こちらが言いたい – 国民

ナイス。クール。

例の東京都水道水問題。テレビのニュースである乳児の母親が「心配するなと言われても気になります」と話していたが、それが当然の反応だろう。そもそも摂取制限を出しておきながら「直ぐに健康に影響はないから心配するな」と呼びかけるのは、ロジックに矛盾がある。

さておき何故政府が摂取制限を出したかと言えば、チェルノブイリの再現をどうにか防ぐためだ。(それくらいの良心は残っているようだ・・・)

ここで繰り返す話でもないが、乳幼児や子供は甲状腺ホルモンが活発なため、大人よりはるかに放射性ヨウ素による被曝の影響を受けやすい。1986年のチェルノブイリ原発事故では、事故後4、5年後くらいから、隣接する地域で子供の甲状腺癌が報告され始めたとのことだ。そして2005年までに5000人ほどの子供の手術例が報告されているそうだ。(出典が正確でないのが恐縮だが、テレビのニュースでどこかの教授が言っていた)
統計には表れていないが、手術を受けられなかった子供も大勢いることだろう。
その子供達が現在どうしているか、どれほど病に苦しめられたか、現状日本のマスコミは積極的に伝えようとしない。

チェルノブイリ原発事故当時の話。放射能汚染の被害はロシアを超えヨ−ロッパの広範囲に渡った。その結果、イタリアは翌年の1987年に国民投票を経て原発廃止の決断を下した。

参考
http://romenavi.blog47.fc2.com/blog-entry-1465.html

近年はイタリアでも原発再開の計画が決定していたそうだが、福島原発の問題により1年凍結する方針となったことが22日発表された。

専門家は「日本ではチェルノブイリのような事態には絶対ならない。何故なら出荷制限や摂取制限を早い段階で行っているから」と語る傾向にあるようだ。しかし注意して欲しい。
チェルノブイリほどの被害に至らなかったとしても、「日本の一部で大気や水、土壌が放射能で汚染された」ということが、揺るぎない事実であることを。そして大気や海に漏れ出した放射性物質が、日本以外の世界に広がっていることを。だからこそ、海外のマスコミはことさら深刻な事態と受け止めているのである。

今回の問題を「深刻に受け止める」ことは、「パニックになること」とは違う。世の中の常識に照らし合わせれば、当然の反応である。それが日本の常識でないのは、日本国民の多くがこの問題に対するリテラシーが不足しているからであり、リテラシーが不足しているのは原子力エネルギーを推進する官民の情報操作によることが原因である。

「直ぐに健康に影響はない」ならば、通常存在するより何十倍もの放射性物質で汚染された世界で生きていけるのか。「問題がない」レベルであれば、放射性物質をまき散らすことが許されるのか。地球は日本だけのものではない。誰がその責任をとるのか。

例えそれで重大な病に至ったり、死に至ることがなかったとしても、あなたはその世界で生きていきたいと思うだろうか。