2011年8月19日金曜日

クリエイティブであり続けるために

(この記事は2011/04/04に書かれました)

奥山清行という人がいる。時間がないので詳しいことは書かないが、若い頃からアメリカ、イタリア、ドイツなど海外で活躍してきたカーデザイナーで、フェラーリのデザインチームのチーフを努めたこともある。この人の著作「フェラーリと鉄瓶」(PHP文庫)はそんな彼のシンプルな哲学が詰まった本。その中に今俄然注目したい言葉がある。以下、第6章「クリエイティブであり続けるために」より一部抜粋。

飛行機でトラブルが発生すると酸素マスクが下りてきますが、欧米人はまず自分のマスクをつけてから、ほかの人に装着するのを手伝います。自分が気絶してしまったら、助けることさえできないからです。何も考えないでほかの人にマスクを一生懸命つけているうちに、自分は意識をなくしてしまう。これからの国際社会の中で、日本人はそういう目に遭いそうな気がしてなりません。

この文章を書いた時点で、彼は今現在の日本の現状など、予測もしていなかったはず。
しかしまさにいま日本では、この忠告(?)通りの事態が起きているとも言える。

過剰な自粛などしても誰も救えないし、自分自身の足下が揺らいでいたら人に手を差し伸べることもできない。今の日本で、被災地以外に身を置く人間がやるべきこと。それは上記の言葉がそのまま当てはまる。

私たちは今これから、どんな日本をつくっていけるだろうか。「何も考えないでほかの人にマスクを一生懸命つけているうちに、自分は意識をなくす」ことなく、別の未来をつくりだせるか。

ともあれ、「フェラーリと鉄瓶」はすごく面白くてかっこいい本です。読むと元気が出ると思うので、読んでみてください。